泡
あまりにも時が経ち過ぎた。
状況は変わり、すっかり歳を重ねてしまった。
あの時のああいった感覚、感受性豊かな自分は置いてきたのだろう。
今また新たに違うことを熱烈に追い続け、きっと叶わぬまま終わるのだろう。
濃密な時間、これは高校生の頃、ある人に言われた言葉。
まるでそれを理解しているような自分がいて、本当にその言葉の意味がわかったのはそれから遥か先のことだった。
今は幸せだ。満たされてもいる。
でも、しかし、あの頃の自分を追い掛けるような自分がいるのも事実。
これはもうどうしようもない。これはもう。
泡のように、湧水のように、姿を見せるのは一瞬でその一瞬をも誰にも気付かぬ時間で終わりたい。