ジャズ喫茶
ジャズが流れている。
普段から聴くわけでも音楽として特別好きなわけでもない。
外は東京の密集した住宅街特有の湿度の高い暑さとなんとも言えない臭いが漂っている。
それに比べてここの快適さなんだろう。
古い冷房から流れる冷気はあまりにも冷たくて今の自分にはちょうどいい。
氷をたくさん入れたミルクティーのコップには水滴がたくさん付いている。
鼻から抜けるミルクティーの香りをタバコの煙で押し流す。
身体が震える程に大音量で流れるジャズはここの主役だ。
タバコをふかしながら小説を読む。古い文学だ。
あまりにも快適な環境で読む本はなかなか頭に入らない。良いんだそれで。
外は夏だ。頭の中でぐるぐる回るたくさんの字を追いかけるように僕は外に出た。